ここに、蜀の地は臨キョウからやって来て都に仮住まいをなす道士がおる。
誠の心をこらして祈念すれば魂をも招き寄せるのだという。 名は楊通幽。
奇しくも亡くなったかの人と姓をを同じうしていた
道士は、君主が寝もやらず貴妃をしのんでいるのに感じ入り、
とうとう配下の修行者に命じて懇切に探索させることとした。
さて、命をうけた修行者は、天空をおしひらき、精神力を駆使し、
いなずまのごとくかけまわり、 天に昇り地界に入り、残るくまなく探し求めた。
上は碧空のきわみまで、下は黄泉の果てまでも探し求めたものの、
両処ともはてしなくひろがる空間があるばかりで、いずことも見当たらなかった。
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と、修行者はききつけた。
海原のはるかかなたに、、絶対無の支配する世界に、ひとつの仙山がある。
内側から光をはなちつつ楼閣はすき透って仙山にそびえ立ち、
五彩の雲がそこから湧き起こる。
あでやかな仙女の多く住むそのなかでも、 ひときわてりはえるおかたがいらっしゃる。
そう、その人の名は太真とか。
雪なす肌、花の貌のそのかたこそ、
まさしく探し求めている人ではなかろうか。
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