『 車 塵 集 』
P−01
P−02
P−03
かろき翅のおしろいや
黄にこそにほへ新ごろも
みやびは誰か及ぶべき
花を臥戸にふたり寝るとは
薄翅凝香粉
新衣染媚黄
風流誰得以
兩兩宿花房
(賈 蓬 莱)
岩にせかるる川浪や
人に別るるわが歎 長々しくも
徒に堤のやなぎ糸たれて
去りゆく舟を得つなぎもせず
一片潮聲下右頭
江亭送客使人愁
可憐垂柳糸千尺
不爲春江綰去舟
(趙 今 燕)
はまべにひとり白鷺の
あだに打つ羽音もすずし
高ゆく風をまてるらむ
こころ雲ゐにあこがれて
沙頭一水禽
鼓翼揚清音
只待高風便
非無雲漢心
(張 文 姫)
われは北斗のほしにして
千年ゆるがぬものなるを
君がこころの天つ日や
あしたはひがし暮は西
儂作北斗星
千年無轉移
歡行白日心
朝東暮還西
(子 夜)
別れしは作、花さく日
今秦淮の水は秋
朝うたてきかがみには
わが面かげぞいたましき
憶昨花前別
秦淮水又秋
朝來怯臨鏡
孤影空自愁
(趙 今 燕)
うたてしや秦淮の水
おぞましや江に浮ぶ船
わが夫をのせて去りにしより
流れけむ 年を幾年
不喜秦淮水
生憎江上船
載兒夫婿去
經歳又經年
(劉 釆 春)
醉ひざめの月のさやけさよ
君おも照らすものからに
君がすがたは見えもせで
ただわりなさの天つ雲見ゆ
醉罷月己明
照我還照君
如何君不見
只見天邊雲
(周 文)
わかきなやみに得も堪えで
わがなかなかに頼むかな
今はた秋もふけまさる
夜ごとの閨に白みゆく髪
自嘆多情是足愁
況當風月滿庭秋
洞房偏與更聲近
夜夜燈前欲白頭
(魚 玄 機)