酷吏去来秋気清
鶏林城畔逐涼行
須比蘇武歳寒操
応擬真卿身後名
欲告不言遺子訓
雖離難忘旧朋盟
胡天紅葉凋零日
遥拝雲房霜剣横 |
酷しい夏の暑さも過ぎ去って、秋の気配が涼やかにただようようになった。このたび朝鮮の都までは、涼しさを追いかけての旅だ。
国の使者としては、いかに困難にあっても屈することのなかった漢の蘇武に、また、死をもって大義を顕した唐の顔真卿にみならわねばならない。
子どもたちに言い残しておきたいことは、なくもないが、もはや言うまい。遠く離れ去るとはいえ、旧友諸君との交誼は忘れがたい。
異国の空の下、紅く色づいた木々も葉を散らす頃、傍らには白くひかる鋭利な剣を横たえて、私は遠く祖国の宮城を遥拝していることだろう。
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酷吏 去り来たって 秋気清く
鶏林城畔 涼を逐いて行く
須く比すべし 蘇武 歳寒の操
応に擬すべし 真卿 身後の名
告げんと欲して言わず 遺子の訓
離ると雖も忘れ難し 旧朋の盟
胡天 紅葉 凋零の日
遥かに雲房を拝
して 霜剣を横たう
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