~ ~ 『 寅 の 読 書 室 Part Ⅶ-Ⅷ』 ~ ~

 
== 『日 本 国 紀 (上)』 ==

著 者:百 田 尚 樹
発 行 所:幻 冬 舎 文 庫
 
 
 
 
 
飛鳥時代~奈良時代
古代から大和政権成立までを「日本の幼年時代」とするなら飛鳥あすか時代から奈良時代は「少年時代」といえます。中国王朝の臣下となる道をきっぱりと断わった日本は、この時代に独立した国家として歩み始めました。そして私たちの祖先は、自分たちが住む国を「日が昇る国」=「日本」と命名します。この素晴らしい名は千三百年後の現在まで一度も変わることがありません。
日本独特の文化が育ち始めたのもこの時代す。神話と合体した歴史書である『古事記』と『日本書紀』が著され、また天皇から遊女や乞食者ほかいびとまでの詠み歌が集められた、世界に類を見ない歌集『万葉集まんようしゅう』が編まれました。
一方で遣隋使けんずいし遣唐使けんとうしを派遣し、積極的な外交が行なわれました。外来宗教である仏教が栄え、シルクロードを通って来た多彩な文物がもたらされました。これらの文物の中には、今日、すでに生産国では消失し、我が国にのみ残されているものが多数あります。いかに私たちの祖先がそうしたものを大切にして来たかの証です。
飛鳥時代こそ、日本という国がたくましく成長していくダイナミックな時代だったのです。
2025/08/15
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