飛鳥時代は、仏教が広められたことで、華麗な文化が花開いた時代でもあります (厳密には前期の飛鳥文化と後期の白鳳文化に分かれる)。建築分野では、大阪の四天王寺してんのうじ、奈良の法隆寺など、日本独特の様式を持つ多くの寺院が建てられ、彫刻も薬師寺金堂薬師三尊やくしさんぞん像、法隆寺百済観音像をはじめとする数々の傑作が現存しています。
絵画の分野でも高松塚古墳壁画など、現代人の目で見ても見事なものが残されています。これらの彫刻や絵画は中国や朝鮮半島の影響が見られるものの、日本人らしい芸術、美意識が色濃く刻み込まれています。
減じんするものの素晴らしさもさることながら、多くの作品が戦乱や天災によって焼失あるいは紛失したにちがいなく、にもかかわらず千年以上経った現代に、少なくない仏像や絵画が残されているという事実に、私はむしろ大きな感動を覚えます。古墳の中に残されていたものは別にして、多くが、寺院の僧たちや、敬虔な貴族や民衆によって代々大切に守り継がれて来たものなのです。これじまさに「国宝」と呼ぶにふさわしいものではないでしょうか。
近年、外国人旅行者がこうした仏像に傷をつけたり、油をかけたりする事件が起きていますが、許されざる暴挙としか言いようがありません。 |
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