平安時代こそ、日本が独自の文化を開花させた時代だったといえます。
遣唐使の停止で公的な国際交流がなくなったことにより(唐や宋との民間貿易は続いていた)、日本的な美意識や思想が育まれるようになりました。
ただ、これと背中合わせに、朝廷はかつての逞しさや国際感覚を失っていきます。
外国との交流を絶ったことで、いわば「プチ鎖国」状態となった日本で、王朝の人々はひたすら「雅みやび」を愛する貴族となり、「平和ボケ」していったのです。
一方で、「武」を尊ぶ武士が生まれたのもこの頃です。武士の起源は様々です。ある者は自らの土地を守るために武装した集団であり、またある者は都や荘園警固の役目を負うために生まれた存在だったようです。やがて彼らは大きな勢力となり、その武力をもって朝廷や貴族を脅かすようになっていきます。
十世紀に誕生した武士は、十二世紀後半に政権を握り、その後約七百年にわたって日本を支配するようになっていくのです。 |